
杉山龍丸(タツマル)さんという、インドの緑化に多大な貢献をした方がいらっしゃいます。
インドのgreen fatherと呼ばれています。
1960年代、インドでは森林を伐採した結果、大地の水がなくなり、砂漠化が進んでいました。
1963年には、インドで飢饉が発生。何百万人もの命が犠牲になりました。
荒れたインドの大地を見たタツマルさんは「森林と共存できない運命は滅ぶ」と考え、
ユーカリをインドのヒマラヤ山脈沿いの地域に植えることを提案。
ユーカリは根を深く張って水を吸い上げる性質があるので、
ヒマラヤ山脈に降った雨が地下に入った後、ユーカリの根によって水を貯めようと考えたのです。
その提案に対してはじめのうちは疑問を呈する声も多くありました。
自分達の生活の余裕がなければ、なかなか協力はできないですものね。
タツマルさんは自ら資金を基に、ユーカリの植林を始めました。
その意欲に賛同した人が徐々に増え、植林も進みました。
月日が経ち、ユーカリは立派に成長しました。ユーカリ並木の長さは、なんと470km(ちなみに東京-大阪は約400km)
ユーカリの根によって、水を蓄えられる土に生まれ変わり、農作物を育てることができるようになったのです。
稲作、麦、芋などの栽培を可能にし、餓死する者が減りました。
タツマルさんは、65歳の時に参加した国際会議で、
「私たち人類は、近代文明を作り、自然を克服したと考えている。しかし、本当に自然を克服したのだろうか?そこに、砂漠化の問題があるように思う。この砂漠化の緑化の問題は、自然の中に一本、樹を植えることに始まる」と話しています。
タツマルさんは、140億円(現在の価値で)の私財を投入して、インドの人々を救いました。