
こんにちは。Aroma de Cheerupです。
今日ご紹介するアロマは、オークモスです。
オークoakは、樫の木。モスmossは、苔。
「苔」と言っても、日本国内の苔とは違い樫の木につく植物です。
では、オークモスってどんな香り⁈って思いますよね。
苔由来なので湿った土の香りがもちろんします。それだけでなく、海の磯っぽさも感じます。
オークモスの香りは好みが分かれると言われていますが、私の周りは「なんか落ち着く」と好む方が多いです。
中世ヨーロッパの植物学者に、ニコラス・カルペッパー氏という方がいます。
医師でもあり占星学者でもある彼は、「治療する部位と似たような形をした植物が効く」という考えを提唱しました。
このオークオスの形、ヒトのどこかの臓器に似ていますね。どこでしょうか?
そう、気管支です。
アメリカの先住民族は、オークモスをlung of oak(樫の木の肺)とよび、風邪や気管支炎、喘息に効果があると信じ、薬として使っていたそうですよ。
オークモスの独特な香りは、古くから香水にも愛用されていました。
オークモスをベースにし、ベルガモットをアクセントに加えることを「シプレー調」「シプレー系の調香」と言います。
シプレーCypreとは、地中海のキプロス島(紀元前から香水を作っていた町)をフランス語読みしたものです。
シプレー調にローズやジャスミン、ムスク等、精油を加えることで、多くの名香が誕生しました。
例えば、ゲランの「Mitsuko」、ディオールの「MissDior」。
シプレー調の香水は爽やかであるだけでなく、落ち着きもあり、男性にも女性にも人気です。
オークモスは、単体で使うよりもブレンドした方が良さが引き立ちます。
中でもやはり、ベルガモットとのブレンドは相性抜群です。
しかし、注意が必要です。オークモスの香りは非常に強いので、ほんの1滴で十分です。爪楊枝で加えましょう。
もしくは、あらかじめ無水エタノールで希釈しておいてから加えるのもおすすめです。
高級感がアップしますよ。
[原料植物名]Evernia prunastri
[科名]サルオガゼ科
[主な産地]フランス
[主な抽出部位]苔
[精油抽出法]溶剤抽出法
[成分]サリチル酸ベンジル、オルシノール
樫の木の苔であるオークモス。
わびさびを愛する日本人にとって、苔は身近で親しみを感じるものです。
オークモスの香りは、森であり、海である。一滴加えるだけで、想像が膨らみます。
じっと同じ場所で、長年耐えて培ったもの。
辛いこともあっただろう。
決して華やかではない香りは、長く留まったからこその落ち着き、安定をくれる。
地味だけれど、一滴加えると驚くほどの変化をくれる。
森のようでもあり、海のようでもある、そんな香りの奥深さは、長年の歴史があるからこそ生まれる。